生徒数の減少で2024年度に複式学級になる見込みの阿南第二中学校を巡り、阿南町教育委員会が、隣接する新野小学校と合わせて併設型の小中一貫校にする方針を示した。新型コロナウイルスの影響で地域との合意形成が図れなかったことから、第一中と第二中を統合するとした従来の方針を転換。24年4月までの設置を目指し、保護者や地域への説明を重ねて理解を得る―としている。
併設型小中一貫校は、現在の小学校と中学校の施設をそのまま活用。組織上は独立した小学校と中学校が一貫した教育を行う形態で、校長と教頭は2人ずつ配置できるが、各1人とする考え。
県の基準では中学1、2年が複式学級となり学級数が2になると、県から配属される教員が3人少なくなる。町教委は校長・教頭を一本化して2人分を一般教員に置き換え、残る1人は町が確保することで複式学級を解消することもできる―とした。
小・中学校両方の教員免許を取得している教員を確保できれば、教員が双方で授業を行えるようになる。
町教委によると、11月28日に新野地区で保護者や地区住民を対象にした説明会を開き、約30人が出席。賛成する声がある一方で、少人数での学習環境への不安などから、当初の方針通りに第一中との統合を望む反対意見も寄せられたという。
勝又司教育長は取材に対し、「子どもと保護者、地域の理解を得て設置する。丁寧に説明を尽くしたい」と強調。今後も説明の場を設けていく考えを示した。また、生徒数の減少が続けば「第一中との統合を再度検討することもありうる」と話した。
町では、05年に中学校の統合研究会が出した「複式学級になる前に統合することが望ましい」との結論を踏まえ、17年に保護者や地区代表で構成する教育環境のあり方検討委員会が発足。18年に「2校を早急に統合すべき」とする内容の答申が出された。
その後の住民説明会やパブリックコメントの経過を踏まえ、町教委は20年1月の説明会で「答申を尊重する」と説明。住民側の賛否が分かれたことから、町教委は協議を重ねて理解を得る方針だったが、コロナ禍で中断していた。