飯田市座光寺の人材育成と産業振興の拠点「エス・バード」で今月から、県内外から飯田下伊那を訪れる修学旅行生の水引体験が本格化している。関係者は11月までに800人から1000人の受け入れを見込んでいる。
エス・バードを会場にした水引体験は今年7月からスタート。「飯田の伝統文化に親しんでもらおう」と同市上殿岡の木下水引(木下茂社長)が企画し、体験プログラムを扱う南信州観光公社(高橋充社長)が窓口となって学校に提案している。
結び方は木下水引の社員が全体に対して教え、水引細工の心得がある橋南公民館サークル「手の芸(わざ)の会」のメンバー6人ほどがアシスタントとなって個々の指導にあたっている。
28日は長野市篠ノ井西小学校の4クラス130人が大型バスで訪れ、午前と午後に分かれて2種類のあわじ結びを体験。最後にコサージュの中心に取り付けて、手作りの飯田土産を完成させた。
子どもたちは「難しかったけれど、教えてもらえたので楽しく作れた」と話していた。
県内外の学校は修学旅行の目的地を2案ほど用意し、新型コロナウイルスの感染拡大状況を注視しながら決めているため、受け入れ人数は増減するが、見込みも含めると800人強から1000人程度が結び方を体験しそうだという。
木下水引では地元の学校に地域学習として水引細工作りを指導したことはあるが、修学旅行生を本格的に受け入れるのは今年が初めて。
木下社長は「エス・バードは駐車場、会場とも広いので、大規模校も受け入れられるのが強み。秋は業界の繁忙期でマンパワーが足りないが、地域の方が関わってくれるので対応できる。水引を介して住民とふれ合う機会にもなる」と話し、回数を重ねる中で中身に磨きをかける考えだ。
◎写真説明:住民(左)の指導で結いを体験する長野市の小学生(エス・バードで)