信州大(本部・松本市)の情報系新学部の設置構想を巡り、中村宗一郎学長は6月30日、誘致を目指す飯田市役所に佐藤健市長を訪ね、学内の検討状況を伝えた。市によると、中村学長は設置場所について、養成する人材像や設置目的の議論を尽くした上で「検討する必要があるとの結論に至った」と話した。方向性が決まった段階で改めて市側へ報告する見通しだが、報告の時期は未定。
長野市も誘致を目指しており、この日は午前に長野市、午後に飯田市を訪れて検討状況を説明した。
飯田市の滞在時間は10分程度。佐藤市長は取材に「大学生や教職員に飯田で学んでみたい、住んでみたいと思ってもらえるまちづくりを進めていく」とした。
信大の新学部構想で、佐藤市長は昨年10月に誘致を表明。今年1月に信州大学新学部誘致推進協議会が立ち上がり、6月の本年度総会には会員ら600人が集まり設置実現を目指す決議案を採択している。
また5月には飯田下伊那地域への新学部設置のメリットを信大側に提示。メリットとしてリニア開業や三遠南信道の全通によって首都圏、中京圏、関西圏とのアクセスが向上し「三大都市圏に最も近いキャンパスになる」ことを挙げ、多様性のあるフィールドやデジタル化、情報化に対して伸びしろのある地域性についても強調している。
信大は情報系学部の新設を検討し、中村学長は「新しい学問領域を切り開く。時代の要請、社会のニーズに応えるのは大学の責務」との認識。3月に国に認可された中期目標・中期計画で、3年後の2025年度をめどに「新学部等の教育実施体制を整備」すると表明した。
中期計画によると、人口動態、地域社会や産業構造の将来予測、新たな教育ニーズの分析結果を踏まえて新学部を含む教育実施体制を整備し、教育プログラムの改編を行うことで社会的な課題解決に当たることができる人材を養成する―とする。