飯田下伊那地域への誘致を目指している信州大(本部・松本市)の情報系新学部を巡り、企業や団体、個人などでつくる誘致推進協議会(会長・佐藤健飯田市長)は20日夜、総会を飯田市内で開き、会員ら600人が集まった。設置実現を目指す決議案を採択。佐藤会長は「大学生、教職員が『南信州にキャンパスを置きたい』『学びたい』と思えるようなまちづくりが必要」とし、大学のあるまちづくりのスタートに位置付けた。
佐藤会長が「大学のあるまちづくりと飯田下伊那の将来像」と題してプレゼンテーションした。
3月に文部科学省が認可した信大の中期目標・中期計画のうち、「点在するキャンパスを強みに」などと掲げる社会連携に触れ「点在するキャンパスを強みにするのであれば4年制大学の空白地帯の南信州にキャンパスを」と願った。新学部を含めた教育実施体制の整備方針に絡めると「信大にとっても強みを生かすことになる」とみた。
今月7日に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想基本方針」について、取り組みの方向性にある「地方国立大学の限定的・特例的定員増などによって地方に魅力ある学びの場をつくる」に言及。新学部設置に伴って信大が定員増を目指しているのであれば「構想にふさわしい地で新学部がつくられるべき」と持論を展開した。
リニア中央新幹線の開業や三遠南信道の全通によって首都圏、中京圏、関西圏とのアクセスが向上し、信大にとっても「大きなメリットになる」といい、研究者らに向けて自らアピールしていく姿勢を強調。4年制大学の空白地帯を改めて指摘すると「県全体の均衡ある発展にとってもメリットになる」と加え、抱える地域課題を踏まえ「ともに解決していくのは大学の存在意義として大切」と語った。
総会では事業報告、22年度事業計画など4議案をいずれも承認した。事業計画には信大に対する具体的な支援方法の検討や経済効果調査などを盛った。
佐藤会長のほか経営者や自治会、PTAの代表らが意見発表した。
推進協は1月23日に設立総会に代わる書面決議で設立された。事務局によると、会員数は6月17日現在で1817人。総会を足掛かりに、支援者の拡大も狙うとする。
◎写真説明:誘致推進協議会の総会