飯田市千代小学校(伊藤政子校長)の5年生6人が25日、地区内にある窯で炭焼きを体験した。窯に入って炭を取り出したり、原木を詰めたりして炭作りを学んだ。
毎年5年生が取り組む恒例の行事で、かつて地区で盛んだった炭焼きに触れてもらおうと長年続けている。関口兼善さん(80)ら地域住民が協力した。
軍手をつけた児童は、窯から焼きあがった炭を一生懸命かき集めては外に運ぶ作業を順番で繰り返した。炭は関口さんが1週間ほど前に火入れを行って準備した。
炭を回収した後は、窯の底に竹を敷き、約80センチのナラの原木を丁寧に並べた。この日集まった約80キロの炭は地区の宿泊施設や住民に配る。
取り出した炭を使用し、五平餅や草餅、千代ネギなどを焼いて味わった。五平餅は児童がよこね田んぼで収穫した米を使い、前日に下ごしらえをした。
女子児童の一人(11)は焼きたての五平餅を「おいしい」と笑顔でほおばり、「大変な作業だったけど、炭の作り方が分かってよかった」と話した。
関口さんは「地域の主要産業だった炭焼きを体験することで地域の魅力や歴史に関心を持つきっかけになったら」。伊藤校長は「地域の協力のおかげで貴重な体験ができている。昔の人の生活を感じて今後の人生に生かしてほしい」と期待していた。
◎写真説明:炭焼きを体験した千代小5年生