飯田市の鼎小学校は2月27日、同校のシンボルとして長年親しまれてきたポプラの木のお別れ会を開いた。腐敗が進み、倒木の恐れがあるとして伐採が決まった。全校児童679人と植樹当時を知る住民4人が参加。思い出を振り返ったり、感謝の言葉を伝えたりした。
高学年棟南側の校庭に根を張るポプラ。1961(昭和36)年4月、当時の新1年生の入学記念で植樹された。高さ約30メートル、根回り5・6メートル。昨年3月に樹木医による診断で、幹の空洞化が進行しており回復が見込めないこと、一方で枝は成長し続けているため倒木の恐れがあることが分かった。2月28日から3日間の予定で伐採が行われている。
植樹の年に入学した吉田綾子さん(68)=中平=によると、ポプラは2本植えられ、うち1本は校舎建て替えの際に伐採した。「はじめは小学6年生の背丈ほどだったが、卒業のころには5、6メートルにもなった。ポプラには何度も励まされた」と振り返り「この木のようにすくすく育って」と子どもたちに呼び掛けた。
「ポプラが寂しがらないように」と5年3組の児童はオリジナルの獅子舞を披露。感謝の気持ちを舞に込めた。
根元にはいくつかの新芽があって、成長する可能性も。児童会長で6年の男子児童(12)は「ポプラが切られてしまうのは寂しいけれど、新しい芽が命をつなぐ。鼎小とともに成長していってくれれば」と話していた。
◎写真説明:全校でポプラを囲み、これまでの思い出を振り返った