飯田市龍江小学校の「今田人形クラブ」は22日、校内で発表会を開いた。全校生徒の前で4~6年のクラブ員9人が心を合わせて演じ、人形の動きで母子の悲しい別れを表現した。
クラブは6月から活動をスタートさせ、今田人形座の澤栁太門座長らが指導に当たった。月1回の練習に加え、放課後や夏休みも学校に出て特別練習を重ねた。本年度は2月に龍江地区の芸能祭に出演し、3年ぶりに学校外で上演。校内では2回延期してようやく発表できた。
クラブ員は「傾城阿波鳴門 順礼歌の段」を上演。両親に会うため順礼旅をする娘おつると母お弓の出会いと別れの話で、今田人形座の座員がせりふを言う太夫と三味線を務めた。
クラブ員は主遣い、左遣い、足遣いの3人一組になって人形を操作。せりふや三味線に合わせて人形の手や顔を動かし、2人が抱き合う場面や去っていくおつるを見つめるお弓の姿を演じた。
鑑賞した全校生徒は人形の姿に静かに見入り、「本物の人みたいにちゃんと動いていてすごい」「声に動きが合わさっていて、親子の気持ちが伝わってきた」などの感想を述べていた。
クラブ長の6年男子児童(12)は「失敗もあったけど楽しくできた。お弓役を全て担い、練習では手が疲れて動かなくなることもあった」と振り返り、「中学でも今田人形を続けたい」と笑顔で話した。
澤栁座長は「よく頑張って発表できていた。人形が主で目線が大事と伝えてきた」とほめ、「今田人形は300年続く龍江の伝統文化。発表で関心を持ち、将来後を継いで歴史をつくっていってくれたらうれしい」と話した。
◎写真説明:せりふに合わせて母子を演じる今田人形クラブの児童