飯伊地区ジュニア期のスポーツ活動検討委員会の本年度第1回会合が27日、飯田市役所であった。飯田下伊那の市町村教育委員会連絡協議会やPTA、スポーツ協会の競技団体などの関係者が参加。中学校の部活動を中心に合同部活・合同チームの扱い、けがの防止、冬季オフ期間などについて意見交換した。
中学生期の部活動を話し合う場として2019年度にスタート。本年度からは、中学生期だけでなく幼児から高校生の年代まで幅広いスポーツ活動につなげようと名称を変更した。
会長の代田昭久飯田市教育長は冒頭、「何かを決定する場ではない。課題を共有しながら、方向性を出し、それぞれの団体や地域で取り組んでもらう。発火点になる会議にしたい」と呼び掛けた。
昨年の検討委で確認した▽部活動の長時間化への対応▽個に対応した活動の必要性(発達・経験に応じた活動)▽地域への移行(23年から休日について段階的に移行、学校部活動は存続)―の3つの方向性を共有した。
意見交換では▽合同部活動と合同チーム▽部活動での傷害▽飯田市部活動アンケート調査―の3点を協議した。
合同部活動・合同チームでは、少子化や競技の多様化により、単独校ではチームスポーツに必要な人数が確保できず、複数校が合同で活動する「合同部活」の例があることが紹介された。
一方、中体連に参加する「合同チーム」は、合同部活内の1校でも人数が足りている場合、合同チームとして認められないとして「いつも練習している仲間と出場できない。年ごとに組む相手が変わる可能性もあり、子どもたちにとって過酷な状況」との問題提起があった。
合同チームは南信大会、県大会に出場できるものの、北信越大会や全国大会へは出場できない。委員からは「合同部活・チームは指導面や選手層で強化の側面がある」との懸念もあったが、「1学年10人規模の学校が単独で団体競技をするのは難しい」などと配慮していく方向でまとまった。
飯伊地区柔道整復師会・飯伊接骨院トレーナーズ協会は、20年来調査している中学生部活動の傷害状況を報告。昨年度と本年度にけがが減ったことについて、委員からは「感染対策で会場が増え、保護者の観戦もなかったのが大会当日のけが減少につながった」「熱中症対策の水分・ミネラル補給など指導者の理解が深まった」「活動が適度になった」との意見があった。
市教委が冬季の部活動オフ期間を設けたことについてのアンケート調査で肯定的な評価が多かったことには「勝利至上主義からスポーツを通じて考える子どもを育てる方向に変わってきた」「やりたい子に活動の場を保障していく必要がある。飯伊で一緒に取り組もう。全市型スポーツスクールなどで多種目を経験する子どもを増やしたい」などの意見が寄せられた。
全体的な話し合いでは、保護者から「部活動の目的は中体連の勝利だけではなく人間形成だ」「子どもがやりたい競技をできるように枠を取り払いたい」などの意見があった。
代田教育長は「飯伊をエビデンスに基づいてちゃんと指導する、良き人間を育む地域にしたい」と語った。
◎写真説明:子どものスポーツ活動を語り合う