有害鳥獣として駆除されるニホンジカの食肉活用を模索してきた県立下伊那農業高校のアグリサービス科生産流通専攻の3年生19人が、飯田市北方の革職人木下英幸さん(44)を講師に皮の使途を探っている。14日の授業では革製品作りに挑戦し、手縫いの難しさを実体験した。
狩猟されたシカの活用方法を調べる中、過去には鹿肉の調理なども考えてきた同専攻。ことしは皮の使途に着目し、木下さんを講師に迎えた。
この日は座学で皮から血や肉、血管を除去して革にする「なめし」を学習。革製品の9割が薬品を使っているが、木下さんは茶や柿しぶに入るタンニンを用い、手作業で行っているとし、「使っているうちに味がでる革になる」と意図を伝えた。
最終目的はシカ皮を使った製品作りだが、事前練習として牛革を素材に手縫いでベルトやスマホケース、小銭入れを作る作業も続けている。
特殊な針とロウが塗られた糸を使うが、革に針を通して縫う作業は一苦労。吉井綾(りょう)さん(17)は「革が硬く、縫うのにはコツがいる」と話した。
木下さんは「命の大切さ、手縫いの手間や少量オーダーメイドによる商品作りの魅力などを伝えられたら」と話していた。