新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、修学旅行の行き先を遠隔地から県内に切り替える動きがある中、体験プログラムが充実する飯田下伊那地域を選ぶ小中学校や高校が増えている。体験をコーディネートする地域連携DMO南信州観光公社(飯田市)によると、12月までに県内の29校が訪れた。県外を含めると80校近くに上り、例年を上回っている。
変更後の行き先として善光寺(長野市)や松本城(松本市)、戦争遺跡の松代大本営(長野市)が選ばれる傾向の一方、200を超える体験プログラムを用意する飯伊を訪れる学校も多い。
岡谷市の川岸小学校6年生は修学旅行の行き先を東京から切り替えた。1泊2日の日程で訪れ、11日は和傘作り、草木染め、陶芸などを体験。喬木村の「阿島傘伝承館」では10人が江戸時代から伝わる伝統和傘「阿島傘」に挑戦した。
作業工程のうち骨組に扇形の和紙を貼る「大張り」では、保存と伝承に取り組む「阿島傘の会」から手ほどきを受け、シワにならないよう和紙を慎重に貼り付けていた。
戦前・戦中に国策で約27万人が旧満州に渡った満蒙開拓団の歴史を伝える満蒙開拓平和記念館(阿智村)を訪れて平和学習もした。児童の一人は「普段できないことを体験し、平和についても考える良い機会になった」と語った。
体験の様子を見守った観光公社の高橋充社長は「県内の人にも地域の良さを認識してもらう良いきっかけになっている」と話していた。
◎写真説明:伝統和傘「阿島傘」に挑戦する児童