部活動の延長として行われている社会体育活動の廃止などを盛った飯田市の中学校の部活動に関する活動方針案で、市教育委員会は6月28日夜、「中学生期のスポーツ活動関係者会議」の初会合を開いた。活動時間の短縮により、競技力向上を目指す生徒の受け皿づくりが課題になるとし、地域で活動する各競技の代表らが参加して意見を出し合った。
市担当課によると、市内中学校9校のほぼ全ての部活動で、部活動の延長として行われる社会体育活動を実施している。部活動を合わせた活動時間は年平均665時間。年間総授業時間が約850時間(1015コマ)なのに対し、900時間や1000時間を超えるものもある。
この日の会合は、水泳、野球、卓球、陸上、バレーボールなどの競技団体の代表やスポーツ推進員、学校長ら約30人が参加。部活動を取り巻く課題を含めて意見交換した。
部活動の現場からは「競技経験のない指導者が多い」との声。負担を指摘し、顧問を解放するような仕組みづくりが必要とした。中体連にも絡め、「方向転換を模索する時期」といった意見が出た。
受け皿としてジュニア教室や地域のスポーツクラブが挙がる一方、地域課題としての浸透が不十分とし、まちづくり委員会などにも協力を求めるべきとの声も上がった。
会議は月1回程度開催する計画で、市教委は9月中旬にスポーツ活動の受け皿を例示する考え。試行期間中の冬場の対応も見据える。
代田昭久教育長は「勝利至上主義を背景に積み上げたものなので急にはいかないと思うが、『スチューデント・ファースト』の視点に立ち、子どもたちのための議論を進めたい」と話した。
活動方針案によると、部活動の延長として行われている社会体育活動は廃止。生徒が競技力向上を目指す場合、地域のスポーツクラブや競技団体などの活動に参加できるよう、市教委を中心に市体育協会など関係機関と連携して活動機会の確保や充実を図る。
部活動時間は平日2時間程度。週末や学校の休養日では長くても3時間程度とし、原則午前、午後にわたらないようにする。さらに朝の部活動は原則禁止。学期中は週2日以上、長期休業中は休業期間の半分以上の休養日を設けるとする。
来年8月末までを試行期間とし、試行期間中に確認された課題について検討後、完全移行となる見通し。
◎写真説明:中学生期のスポーツ活動関係者会議