台風19号の接近に伴い阿南高校と同校創立70周年記念事業実行委員会は11日、翌日に開催予定だった創立70周年記念式典を1日前倒しして開催した。リハーサルの予定などを活用し、式典とアトラクションの一部を実施。同日朝の決定となり、一般の姿はほとんどなかったが、全校生徒や同窓会役員らが節目を祝い、先人らへの感謝を胸に飛躍を誓い合った。
1950(昭和25)年4月に下伊那阿南高校の名で開校。阿南地区14カ村組合立高校として泰阜村内の仮校舎でスタートしたが、同年5月、第1期校舎と付属施設が地元負担で建設され、7月1日付で県立高校に移管された。
式典では、同校の歩みをスライド「写真でふり返る阿南高70年」などであらためて学び、先人らの尽力に感謝。3年生で生徒会長の平澤奎さんは「先人たちの努力の末に今があることを忘れない。さまざまな人たちの思いのこもった母校が、今後も地域のシンボルであり続けることを願い、卒業後も、社会へ、地域へ貢献できるよう努力していく」と力を込めた。
予定されていた同校卒業生で、日本パラリンピック委員会強化委員長の大槻洋也さんによる講演会は中止となったが、生徒アトラクションで吹奏楽部が演奏を披露。「人を楽しませるプロであれ」をモットーに練習を重ねる同部がステージを繰り広げ、式典に花を添えた。
式典の開催に向けて4年掛かりで準備を進めてきた記念事業実行委員会の金田信保委員長(同窓会長)は、「大変残念ではあるが、安全を考えれば最良の判断ができたと思う。学校の協力により簡素な形にはなったが、式典を行うことができて良かった。忘れることのできない日になった」と話した。
◎写真説明:1日前倒しして実施した記念式典