大鹿村内で工事を進めているリニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区(約8・4キロ)を巡りJR東海は6日、小渋川―釜沢非常口間の先進坑約1600メートルが貫通したと発表した。準備ができ次第、引き続き東側の品川方面に掘り進める。貫通した先進坑区間は来年1月以降、残土や資機材の運搬に利用する。
先進坑は、地質や湧き水の調査などを目的に本坑(本線トンネル)に並行して掘削するトンネル。同工区では約8・0キロの掘削を予定しており、小渋川非常口から本坑に接続する斜坑(作業用トンネル)の先から品川方面に掘り進めている。
小渋川側からの掘削は2019年8月に着手。釜沢非常口からの斜坑掘削の完了に伴い、今年9月からは釜沢側からも先進坑を掘削し、6日午前につながった。
同社広報部によると、現在は工事用車両が通行できるように坑内の舗装などを進めている。除山非常口や釜沢非常口から発生した残土、仮置きしている残土の運搬に活用する方針で、先進坑を通って小渋川非常口から外に搬出する他、これまで釜沢地区まで県道を通行していた資機材運搬車も先進坑内を通行する。
今後は釜沢側から品川方面に向けて掘り進める。同工区ではこの他、除山非常口からの斜坑(1870メートル)を掘削しているが、9割を掘り終えた。完了次第、こちらも品川方面に向けて掘削する。
◎写真説明:貫通した小渋川―釜沢非常口間の先進坑(JR東海提供)