リニア中央新幹線計画を巡ってJR東海は21日、伊那山地トンネルのうち大鹿村の青木川工区(3・6キロ)で本線用トンネル(本坑)の掘削を始めたと明らかにした。同社広報部によると、県内での本坑の掘削開始は初めて。同日夜に開かれた上伊那郡中川村のリニア対策協議会で報告した。
伊那山地トンネルは、大鹿村の小渋川左岸から豊丘村壬生沢坑口までを結ぶ15・3キロ。青木川、坂島、戸中・壬生沢の3工区に分けて工事を行っている。
青木川工区は2018年10月に着工し、20年7月に本坑トンネルへつなげる作業用トンネル(斜坑)の掘削に着手した。広報部によると、約600メートルの斜坑の掘削が完了したことから9月3日に本坑の掘削を開始し、名古屋方面に向けてNATM(ナトム)工法で掘り進んでいる。
この他、伊那山地トンネルでは、戸中・壬生沢工区(約6・6キロ)が6月末に戸中非常口からの斜坑(1・0キロ)掘削に着手。坂島工区(約5・1キロ)も7月から坂島非常口からの斜坑掘削を行っている。
また、JRは南アルプストンネル長野工区について、釜沢非常口からの斜坑(350メートル)の掘削が8月25日に完了し、21日から先進坑の掘削を開始したことも明らかにした。小渋川非常口から釜沢非常口間約1600メートルの先進坑掘削は約7割、除山非常口からの約1870メートルの斜坑掘削は約8割が完了している。
◎写真説明:斜坑掘削が完了した青木川非常口