リニア中央新幹線県内駅(飯田市上郷飯沼・座光寺)の周辺整備事業で、県駅の高架下空間の活用と県駅へのアクセスについて、市はそれぞれ検討の場を新たに設ける。10日に開かれた「リニア中央新幹線整備を地域振興に活かす伊那谷自治体会議」で佐藤健市長が明らかにし、検討体系のイメージ図を提示した。
新たに立ち上げるのは「駅前広場活用検討会議」と「リニア駅アクセス検討会議」で、下伊那地域のほか県や上伊那地域の市町村らで構成。市が事務局を担う。
改札口のある高架下空間は約3000平方メートル。駅前広場活用検討会議では市の検討状況を共有し、求めれる機能やサービスの方向性などについて話し合う。進ちょくに応じて移住定住や二地域居住交流、観光・体験、インバウンド案内などに関する部会を置く。
リニア駅アクセス検討会議では駅と周辺地域を結ぶ2次交通や3次交通を視野に検討していく。
いずれも来年度の早い時期に設置し、うち駅前広場は25年9月を検討期限に「魅力発信施設の設計に反映させたい」との方針。アクセス検討会議は25年度末までに駅前交通広場の整備要素を確定させたいとした。
出された意見は市が別に設ける推進会議(仮称)で方針決定し、駅前広場整備に落とし込む。民間企業の知見も取り入れたい考えで、細田仁リニア推進部長は「広域的な見地からも議論を深め、多様な意見を整備計画に反映させたい」と話した。
駅前広場となる駅周辺(6・5ヘクタール)を巡っては、市が昨年12月に土木工事の実施設計を公表した。今秋をめどに造成工事に着手する計画で、大屋根など建築の実施設計は今年の秋にも着手したいとする。
この日の伊那谷自治体会議はオンラインで開かれ、阿部守一知事や関係市町村の首長らが課題を共有。伊那谷の強みを生かした地域づくりの方向性を確認した。強みを生かした先進地域づくりの方向性として、事務局が「持続可能な環境共生」と「豊かな自然環境と独自の文化などを活用した教育・学び」の観点からたたき台を示し、国内外から選ばれる伊那谷にも目を向けた。
阿部知事はリニアバレー構想実現プランの取り組みが遅れているとの認識で、今後の加速化によって「巻き返しを図る」と語った。
◎写真説明:オンラインで行われた伊那谷自治体会議