阿智村の熊谷秀樹村長は17日、リニア残土置き場の候補地となっている清内路のクララ沢について、安全性に懸念が出た場合、JR東海が用地を取得し管理するよう要望していく考えを明らかにした。同日の村議会6月定例会の一般質問で言及した。
村によると、クララ沢の流域全体の面積は44・2ヘクタールで、JRはこのうち15ヘクタールを取得する意向を示している。熊谷村長は「今後も専門家に相談し、調査してもらう」とし、「安全性が担保されない場合、残りの約30ヘクタールについてもJRに取得してもらうよう要望していきたい」と述べた。
4月に岐阜大学の沢田和秀教授ら専門家がクララ沢を視察。その際、上流部分が長く集水面積が大きいと指摘し、災害が大規模になり発生リスクも高いことから「JRが土地を買い取り維持管理してもらうのも一つの方法」と助言していた。
また、熊谷村長は新設したリニア整備対策室の室長について、民間企業から登用する方針を示した。民間に在籍した形で1年間採用する。20日の村議会定例会で関連予算案を提案する。現在は塩澤房人副村長が兼任している。熊谷村長は「新型コロナ対応などで役場の仕事がひっ迫している状況もあり、外部から専門に従事できる人の登用を考えた」とし、「交渉など民間のノウハウを職員も学べる」とした。
一方、清内路自治会や工事に関係する村道の地権者らが、室長の人事で16日に要望書を提出したことも明らかにした。地権者らは「室長には地域の実情を熟知した村職員や、専門的知見を持った県職員らを選任してほしい」と求めている。