リニア中央新幹線飯田市内工区のトンネル掘削に伴う残土運搬で、中央道と三遠南信道を使う運び出しが来年1月に開始されることが分かった。JR東海は中央道飯田インターチェンジ(IC)を経由するルートで下久堅地区などの活用先に運ぶ計画で、飯田IC周辺の住民を対象にした説明会の中で安全対策を含め示した。
市内工区の残土搬出計画によると、中央アルプストンネル松川工区(4・9キロ)のうち斜坑掘削に伴う残土搬出は2022年度初頭までを見込み、本線トンネルに伴う残土搬出は22年の春以降に始まる。風越山トンネル「黒田工区」(2・3キロ)と「上郷工区」(3・3キロ)のうち黒田工区の作業用トンネル(非常口)掘削は22年度末ごろ、本線トンネルの掘削は23年度以降を予定。上郷工区の本線トンネル掘削も23年度以降になる見通し。
飯田IC近くの飯田インター東交差点を通過する台数を提示した。飯田ICに進入する台数は2022年1月~3月が最大約40台、22年度前半が最大約130台、同後半が最大約210台。松川工区の本線トンネルと黒田工区の非常口トンネルが重なる時期は最大約290台、松川工区と黒田工区の本線トンネルが重なる時期は最大約370台となる予定。いずれも片道。運行時間は午前8時から午後5時半。
工事の進ちょくに応じて台数を段階的に増やしていく計画で、JRは今後の交通状況を見ながら必要な対策を講じていくとする。
松川工区は、松川に架かる工事用仮設桟橋で左岸の県道飯田南木曽線と右岸の市道大休妙琴線をつなぎ、残土運搬車両は両路線を一方通行で走行。県道飯田南木曽線、羽場大瀬木線、国道153号(アップルロード)などを使って運び出す。来夏にかけて喬木村阿島地区の残土置き場へ運んでおり、処分計画地となっている下久堅地区への搬出も始まる。
市内の坑口3カ所から出る残土は約185万立方メートルを見込み、松川工区が約90万立方メートル、黒田工区が50万立方メートル、上郷工区が45万立方メートル。
松川工区では9月6日にトンネルの掘削が始まった。岐阜県中津川市の瀬戸トンネルで10月27日に発生した崩落事故を受けて一時中断していたものの、今月16日に掘削を再開した。