飯田市の上郷飯沼と座光寺で新設するリニア中央新幹線県内駅(仮称、全長950メートル)について、今秋にも着工することが8日、関係者への取材で分かった。本体工事は土曽川橋りょう部の着手を先行したい考えで、JR東海は9日に地元の上郷地区で計画概要に関する説明会を開く。
9日の説明会では駅部の全体概要のほか、先行して検討を進めている土曽川橋りょうと竜西一貫水路付け替えの計画概要を示す予定。
着工に向けては、4~5月に地元説明会を開催し、着工の前提となる工事説明会は5~6月に予定。7月ごろに環境保全計画を公表する。
昨年6月に清水建設(東京)と工事契約を結んだ。完成目標は2026年3月末。
工区の東端は座光寺地区で、土曽川、国道153号をまたいでホームまでを高架橋と橋りょうで結び、西端となる風越山トンネルとの隣接部は切土して掘割区間とする。高架橋区間は約510メートル、橋りょう区間は約120メートル、土構造物区間は約320メートル。
駅部は全て、四角いフードで覆う。駅中央部のうち高架下利用スペース付近の構造物は幅40メートル、高さ19メートルで、県駅に停まる副本線側のフードは外から見える構造を検討している。
座光寺側の駅東部のうち、土曽川に架かる橋りょう部の構造物は幅36メートル、高さ24メートル。県道市場桜町線からJR飯田線までの駅西部は飯田線に向かって地盤面が高くなり、地表面に構造物を計画する。
一方、リニア県駅西にできる「風越山トンネル」(5・6キロ)のうち未着工の「上郷工区」(3・3キロ)の掘削について、JRは地下水への影響が小さい「シールド工法」を採用する方針だ。
掘削残土は本線と土曽川付近を結ぶ「作業用トンネル」内のベルトコンベヤーを使って搬出する。作業用トンネルは延長350メートル。最大土かぶり約70メートルで、幅5・5メートル、高さ4・5メートル。作業用トンネルの設置に向けては、土曽川付近の施工ヤードから掘削し、本線トンネルの掘削起点となる発進坑に接続する予定。最終的に埋め戻す。
シールドマシンの製作は発注から2年ほどかかる見通しで、シールド工法による掘削工事の開始はシールドマシンの製作後となる。
掘削工事が再開 県内の全5工区で
愛知県春日井市のリニア中央新幹線トンネル工事で発生した事故を巡り、JR東海は8日、一時中断していた県内の全5工区の掘削工事について同日再開したと発表した。
JR広報部によると、工事業者などとつくる中央新幹線安全推進協議会を7日に開いて掘削面付近のリスクを洗い出し、発生防止策を徹底。JRが豊丘村の事故を受けてまとめた再発防止策の実施状況を確認した。再開を前に、8日の朝礼や点呼を通じて作業員全員への周知を図った。
関係市町村と県にも伝え、詳細な報告は後日行う見通し。