松川町内でのリニア残土運搬車両の通行を巡りJR東海は20日、通行ルートでの安全対策の状況を町のリニア建設工事対策委員会で報告した。大鹿村内の工事で発生する残土を活用する伊那インター工業団地拡張事業に伴い、25日から伊那市への運搬が始まる。今月末までは試験走行期間とし、1日の通行台数は片道約20台で運行する。
大鹿村からの運搬車両は、県道松川インター大鹿線、町道洞新線と護岸線、古町境の沢線の3ルートに分散して通行。いずれも東浦交差点を経由して松川ICへ向かう。
復路では中川方面から国道153号を通り、鶴部交差点で町道鶴部線、洞新線、松川インター大鹿線の3ルートに分岐して戻る。
JRや町によると、運搬ルートにあたる町内各路線で安全対策工事を実施。町内8カ所で道路白線などの復旧、5カ所でカーブミラー更新、3カ所で車止めポストの設置、4カ所で注意喚起看板を設置した他、鶴部信号付近、松川インター大鹿線と神護原線交差点でカラー舗装を行った。
また、町はJRの協力を受けて洞新線と護岸線の改良工事を実施する。洞新線は道幅5~6メートルほどの約800メートルの区間を7.0メートルまで拡幅。小松川橋前につなぐ約200メートルの区間を新設する。護岸線も道幅が狭い区間を拡幅し、「大型車と普通車がすれ違えるくらいにする」(リニア対策課)。
伊那市への運搬は2023年度末までの予定。運行時間帯は午前8時半から午後5時まで。日曜日と年末年始などの長期連休は運休する。
1日の通行台数は21年度末まで片道約50台、22年度以降は同約120台となる。
JRの古谷佳久担当部長は「委員会の皆さんとコミュニケーションを取りながら、今後も進めていきたい」と話した。
運搬ルートを巡って、JRは3月に護岸線を拡幅改良し主路線とする集中案を提示したが、住民から分散や松川IC以外の利用を求める声が多数上がったことから、町と協議。分散と運搬台数の低減を主軸とした現在のルートを最終案として7月に公表し、住民説明会を開くなどして理解を求めてきた。9月にはルートや安全対策をまとめた通行に関する確認書を町と締結した。
◎写真説明:松川町リニア対策委員会