喬木村内のリニア中央新幹線天竜川工区で未着手の高架橋区間(約445メートル)を巡り、JR東海は12日夜、地元住民との懇談会を阿島北コミュニティーセンターで開いた。出席した住民によると、JRは4月にも高架橋の工事に着手したいとの考えを示した。
2月に予定する工事説明会を前に住民から意見を募ることを目的に、非公開で実施。JRからは長野工事事務所(飯田市)の平永稔所長らが出席し、工事概要を説明するとともに阿島北地区の住民と意見交換した。
今回説明があったのは、天竜川堤防から竜東一貫道路交差点先までの高架橋区間。4月にも同道路を挟んだ東側で「高架橋下部の工事に着手したい」としていた。工事用道路への進入路や工事施工ヤードを整備し、橋脚の基礎工事を行う。
西側の下部工については来年7月ごろの着手を予定。高架橋全体の完成は2025年度中とし、竜東一貫道路など一帯の村道で車道の片側通行や歩道の通行止めを一定期間行うと説明があったという。
工事用車両の運行計画も示された。橋脚の基礎工に伴う掘削土は、堰下地区のガイドウェイ製作・保管ヤードに運搬。1日最大で約35台(片道)が通行する。基礎施工時などのコンクリート打設日には最大で400台(同)の工事用車両が走る。
住民側からは、工事期間中の交通規制による渋滞が懸念されることから、交通量調査の結果や渋滞予測を示すよう求める声が上がった他、隣接する阿島北工区のトンネル掘削で発生する湧き水の排水などについて質問・要望があった。JRからは「工事説明会では今回の意見を反映するよう心掛けたい」との回答があったという。
天竜川工区は、飯田市と喬木村間の天竜川を渡河する天竜川橋梁(約515メートル)と阿島北の竜東一貫道路交差点先までの高架橋区間の計約960メートルで、三井住友建設、吉川建設などによる共同企業体(JV)が施工する。橋梁は昨年10月に本体工事に着手している。
◎写真説明:工事施工ヤードの一部になる予定の農地