リニア中央新幹線トンネル工事で発生し、汚染対策が必要とされる「要対策土」について、JR東海は10日の南信州広域連合会議で、活用する際の対策方法の考え方などを示した。造成後の安全性確保については、公共事業でもJRが管理することもあると説明。具体的な候補地を確保できていない状況を踏まえ、JR自ら候補地を積極的に探していくとした。
要対策土を巡っては、関係16自治体の首長らとJR東海幹部による昨年12月の意見交換会で、JR側は公共事業での活用先のあっ旋を要望していた。
この日、JRの杉浦禎信長野工事事務所長らが出席。対策方法のイメージ図を示し、高速道路や新幹線での活用例を紹介した。計画に向けては過去の活用例を参考にしつつ、有識者の意見を取り入れながら対策を検討する方針。造成後は周辺の地下水などを監視・モニタリングする考えで、盛り土の管理は「責任を持って実施する」とした。
今後について、保守基地や変電所といった自社設備用地造成への活用を検討したい意向。ただ活用は限定的で、JRが用地を取得した上で計画することも視野に候補地を探しているとした。
JRによると、「自然由来重金属などの基準不適合土」と「酸性化可能性のある土」の2種類のうち、最終的な対策を取る残土を「対策土」と呼び、カドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素の8種類が該当する。これまでに県内で出た要対策土は計約5000立方メートル。南アルプストンネル長野工区、伊那山地トンネル坂島工区などから出たもので、それぞれ付近の残土置き場に仮置きしている。
リニア工事で発生する残土の活用先としては飯田市、喬木村、豊丘村、大鹿村、伊那市、高森町、中川村の計15カ所が決定。この他、公共事業での活用を含め約30カ所を候補地として関係機関や地元地権者らと調整している。
◎写真説明:広域連合会議で説明するJR