JR東海は20日夜、阿智村清内路の清内路公民館でリニア住民説明会を開いた。残土置き場候補地「クララ沢」が崩壊土砂流出危険地区にあたることを住民に周知していなかったとしてJRと県、村の3者が謝罪。JRがクララ沢の盛り土について安全対策を説明した。
会合は非公開で、同社や県、村関係者と清内路地区住民ら約70人が参加した。
クララ沢は萩の平非常口(斜坑)から約200メートルの距離にある谷川。中央アルプストンネル萩の平工区(3・9キロ)の掘削で同非常口から発生する残土は約71万立方メートルで、このうちクララ沢には約20万立方メートルを盛り土する計画。盛土面積は約2・5ヘクタールで、最大盛土高は約23メートル。
崩壊土砂流出危険地区は山腹崩壊や地滑りによって発生した土砂が土石流となって流出し、災害が発生する恐れのある地区。クララ沢は同地区に含まれる。
参加者によると、県と村が住民に説明していなかったことについて、「情報共有できていなかった」と謝罪。崩壊土砂流出危険地区は治山事業を計画的に実施するための基礎資料で、早期に対応することで災害発生を未然に防ぐために設定しているとし、法律で制限や規制されているものではないことを説明した。
その上でJRがクララ沢の安全対策を説明。神奈川県熱海市の土石流の現場とは違い、盛り土内に水がたまらないよう地表や地下に排水設備を設置する計画を示した。地下排水管とは別に地下排水補助管もつくる。調整池も設置し雨水が近くの黒川へ一気に流れないようにする。
盛り土は階段状に盛り、斜面補強材や植樹による緑化で土砂流出を抑制。治山えん堤を設け、上流からの土砂流入を防ぐ。盛り土内の地下水位が盛土高の2分の1まで上昇した状態を想定しているとし、盛り土の安定性向上のため埋設工を設置する。
村道改良計画の進ちょくについての報告もあり、村道1―20号線に道幅6メートルの迂回路を造るとした。
住民の一人は「リニアという大きな事業に向け、もっとしっかりした体制をつくってほしい」と村に要望し、住民が納得した形で工事が進むことを求めた。