喬木村内のリニア中央新幹線建設工事に伴い、阿島北から伊久間の伊久間工場団地に移転する菓子製造業本社工場の新築工事地鎮祭と安全祈願祭が11日、現地であった。村によるとリニア工事により移転する企業は計3社で、このうち2社が同団地に移る。出席した市瀬直史村長は「広大な敷地を利用し、地域経済に寄与を」とエールを送った。
移転するのは「伊藤製菓」(手塚宏行社長)の本社工場。現工場は阿島北の竜東一貫道路沿い西側に位置し、リニア天竜川工区の高架橋新設区間に含まれる。村が立ち退く企業向けにリニア残土を活用して造成した同団地に移転する。
JRの計画では早ければ6月にも竜東一貫道路の東側で高架橋の下部工に取り掛かり、西側は来年7月以降の着手を予定している。
同社によると、新工場は現在の約1200坪から約2000坪に拡張して製造ラインを増やす。来年8月から移転を始め、同12月までに工場の全稼動を目指す。
地鎮祭と安全祈願祭には同社や村、工事関係者ら約20人が出席。神事を執り行い、更なる発展と工事の安全な進行を願った。
手塚社長は2013年にリニア工事の範囲に自社が含まれることが判明してからの経過を振り返り、「新型コロナウイルスによる遅れもあったが、新規工場が完成することを楽しみにしている」と期待。施工業者を代表してあいさつした吉川建設の吉川賢副社長は「安全を第一に一日も早く完成するよう全力で取り組む」と述べた。
市瀬村長は「村民や議会から移転者に最後まで寄り添うよう強い要請をもらい、村も移転先の用地の確保に一生懸命に努めてきた」とし、「ますます会社を大きくし、地域経済に寄与していただければ」と話した。
◎写真説明:伊藤製菓の本社工場新築工事の地鎮祭