喬木村内のリニア中央新幹線建設事業を巡りJR東海は18日、地元の阿島北地区の住民を対象にした工事説明会を阿島北コミュニティ消防センターで開き、天竜川工区で未着手の高架橋区間(約445メートル)の計画概要を示した。2025年度の完成を目指し、この春にも準備工事に着手する。
天竜川工区は、飯田市と喬木村間の天竜川を渡河する天竜川橋梁(約515メートル)と阿島北の竜東一貫道路交差点先までの高架橋区間の計約960メートル。説明会では高架橋区間の施工内容と工事用車両の運行計画、環境保全についてJRが非公開で説明した。
JRによると、高架橋の高さは地上から防音防災フードを含めて最大36・5メートルで横幅は約20メートル。同区間では約65~119メートル間隔で12基の橋脚を建設する。天竜川橋梁から約250メートルの区間には3・5~6・0メートルの防音壁、残る区間には緩衝工・防音防災フードを設置する。
計画では、春ごろに工事用道路の進入路の整備など準備工事に着手。早ければ6月にも竜東一貫道路の東側で橋脚基礎などの下部工に取り掛かる。西側は来年7月以降を予定し、上部工も含めた全体の完成は25年度を見込む。
工事期間中、進入路の設置や道路に近接する箇所での工事に伴い、日中、竜東一貫道路の片側交互通行や歩道の通行止めを行う場合がある。23年夏から冬ごろには約3カ月間の交通規制を行う。
高架橋の基礎部の掘削で発生する残土は阿島橋そばの堰下ガイドウェイヤードに運ぶ。運搬車の通行台数は月別平均で1日最大35台(片道)で、23年下半期がピークとなる。橋梁工事の工事用車両と併せ、最も多いところで同130台が村内を通行する他、コンクリートの打設日は最大で同300台が走行する。
運行時間は資機材の運搬車が午前6時から午後7時、残土運搬車が午前8時~午後6時。日曜日と年末年始などの長期休暇期間中は休工になる。
環境保全では、工事排水を中和処理装置などで処理したうえで公共用水域に排水することや大気、騒音、振動対策を説明した。出席者によると、住民側からはモニタリング調査の範囲に住宅地を含めることや水質検査の公表を求める声が上がった。
村民対象の説明会は20日午後6時から村福祉センターで行う。
◎写真説明:高架橋工事の範囲(配布資料より)