リニア中央新幹線の地上(明かり)区間で、喬木村で建設予定の高架橋について、JR東海は14日、環境保全計画を公表した。県内の高架橋で初の工事着手となり、着工時期については「6月以降」とした。
環境保全計画を公表した高架橋は、天竜川工区(約960メートル)のうち喬木村阿島の445メートルの範囲。橋脚を12基建設し、西側の153メートルは高さ6メートルの防音壁、東側の292メートルは高さ8メートルの防音・防災フードをそれぞれ設置する。
下部工、上部工とも竜東一貫道路の東側を先行し、西側は来年7月以降に着手する予定。2026年3月の完成を予定する。
下部工の掘削に伴って1万7000立方メートルの残土が発生する見込みで、村内で整備中のリニア関連施設「ガイドウェイ」製作・保管ヤードの造成に活用する。
工事用車両の運行は23年度の下半期がピークとなり、1日最大で片道130台を見込む。コンクリート打設日はまとまった量のコンクリートを打設する必要があるとし、早朝、夜間を含めミキサー車の運行が増える。
日照阻害については「可能な限り径間長と桁下空間を確保する」とし、構造物の配置に伴う影響を低減するとした。
騒音や粉じん対策として、工事施工ヤードの周囲に高さ2メートルの仮囲いを置く。
大気質や騒音・振動、水質、水資源に関するモニタリング調査は事後調査計画書に基づいて実施するとし、モニタリングの調査地点を示した。
天竜川工区は、天竜川に架かる「天竜川橋りょう」(約515メートル)と、喬木村の高架橋(約445メートル)を合わせた区間で、JRは準備工事に関する環境保全計画を20年11月に公表。橋りょう工事のうち喬木村側の約220メートルについては21年8月に公表している。右岸側約255メートルの環境保全計画は別途公表する予定。
環境保全計画書は同日、県と喬木村に提出した。