リニア中央新幹線伊那山地トンネル(延長約15・3キロ)のうち豊丘村内の戸中・壬生沢工区(延長約6・6キロ)で1日正午、本坑の掘削工事が始まった。村内での本坑掘削は初めて。JR東海によると、戸中非常口から掘削した斜坑との交差部から、品川方面に掘り進める。
同工区では、昨年6月28日に斜坑(延長約980メートル)の掘削を開始し、今年の7月6日に完了。その後、本坑掘削に向け斜坑と本坑の交差部で工事を進めていたが、9月に労災事故が発生し、10月24日に再開するまで約1カ月間、工事が中断していた。
同工区の本坑掘削を巡っては、ルート上にかかる福島区が水枯れを懸念し、水資源の事前対策を求めた。JRは26日に開いた村リニア対策委員会で、貯水槽の設置や約3・2キロの管路を整備するなどの対策を示し「区にかかる本坑の掘削については、事前対策を行った上で着手する」とした。
この他、村内では伊那山地トンネル坂島工区(延長約5・1キロ)で斜坑の掘削が行われており、10月末までに延長約1440メートルのうち3割が完了している。契約工期は両工区とも2026年9月末まで。
豊丘村の下平喜隆村長は「工期内で工事が終わるよう、安全を重視して進めてほしい」と話していた。
◎写真説明:本坑掘削が始まった戸中工区の非常口ヤード