岐阜県中津川市と豊丘村のリニア中央新幹線トンネル工事の現場で発生した崩落事故を受け、JR東海と工事を請け負う建設会社などが再発防止を目的に「中央新幹線安全推進協議会」を設立した。25日には豊丘村で県内の初会合が開かれ、発注者のJRや県内11工区の施工6社の担当者ら計30人が出席。「山岳トンネル工事での肌落ちによる事故防止」をテーマに意見交換した。
会合は冒頭以外非公開。冒頭あいさつでJR東海の古谷佳久担当部長は、事故が相次いで発生したことについて「リニアを応援していただいている人・負担をお掛けしている地域住民に懸念や心配をおかけした」と陳謝。「発注者と施工者が気持ちを一つにしてより強力に事故防止に取り組む必要がある。協議会を施工会社間の横通しの場として情報や認識を共有し、労働災害や公衆災害防止の徹底に取り組んでいきたい」と述べた。
古谷担当部長によると、会合ではJRが事故の概要を改めて説明するとともに、各社が現在行っている肌落ち防止対策などを紹介。安全を確保するための立ち入り禁止区域の設定や切羽に入る場合のルールの設定基準、事故発生時の指示や退避方法などについて情報を共有し、意見交換した。
終了後、取材に応じた古谷担当部長は「工区ごとに地質や使う機械なども違うため、全国で画一的に決めるのは難しい」とし、事故発生後から中断している伊那山地トンネル坂島工区(豊丘村)の工事について「原因の究明を行い、再発防止策を講じた上で関係各所に説明してからの再開になる」とした。
南アルプストンネル新設長野工区JVの鎌城隆・現場代理人は「各工区で情報を共有し、それぞれの課題を皆で議論して打開策を見つけ、県内全ての工事が安全についてレベルアップしていければ」と話した。
リニアトンネル工事を巡っては、中津川市の瀬戸トンネルで10月27日に掘削した表層の土砂が崩落する「肌落ち」が発生し、作業員2人が死傷。今月8日には坂島工区の斜坑で崩落が起き、作業員1人が軽傷を負った。
この日は他の沿線6都県でも協議会の初会合を開催。今後は毎月1回の頻度で開催し、リニア建設工事の完了まで継続する。
◎写真説明:豊丘村で開かれた長野県の安全推進協議会