豊丘村のリニア中央新幹線伊那山地トンネル坂島工区で発生した崩落事故で、JR東海は13日、事故原因と再発防止策をまとめた中間報告を公表した。国のガイドラインを順守していたものの監視や安全対策が不十分で、表層がはがれ落ちる「肌落ち」が労働災害につながったとした。
報告によると、地山からはがれた岩石「浮石」の落とし不足や、岩が崩れないように補強するコンクリートの吹き付けのムラなどによって肌落ちが生じたと推定。監視が十分にできていなかった可能性を指摘し、「変状の予兆を早期に発見することができず、作業員全員が安全に退避することができなかった」とした。
今後の安全対策として、JRは監視員を増員するなど監視体制を強化し、退避手順の周知を徹底。落石から作業員を守る防護ネットを展開するとした。JRの監督体制として、安全に作業が進められているかどうか確認する回数を増やすことも盛った。
この日、JR東海の古谷佳久担当部長らが県庁を訪れて事故原因と再発防止策を報告。県側は田下昌志建設部長らが応じ、説明後に意見交換した。
坂島工区の崩落事故は昨年11月8日午前8時20分に発生し、50代の男性作業員が右脚に軽症を負った。
崩落事故を巡っては、沿線を含む関係市町村が連絡の遅れを指摘。JRは緊急事態発生時の連絡体制を再構築した。連絡体制では想定される連絡事象と連絡手段をより明確化。連絡方法は長野工事事務所から事故が発生した市町村、県、飯田市へ直接電話連絡する流れで、「1時間以内を目安」とした。