阿智村は15日、リニア発生土置き場の候補地となっている清内路のクララ沢に関する住民説明会を同地区で開いた。JR東海が昨年から追加変更した箇所を中心に詳細計画を説明。住民からは設計だけでなく、工事完了後の管理計画の明示を求める声が上がった。
村とJR東海、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、JV、県のほか、昨年クララ沢を視察し、村から相談を受けてきた岐阜大の沢田和秀教授らも出席。住民約60人が参加した。
クララ沢の住民説明会は昨年5月以来。村は8月以降、JRに要望書や質問事項を提出し、沢田教授や県らの意見を聞きながら、安全性を慎重に検討してきた。村はこの日、JRからの回答や、専門家の意見も踏まえたQ&Aを示し、▽発生土置き場内の水路はJRが管理▽造成範囲の内外両方で十分排水できる設計―などの確認事項を報告した。
JRが設計や管理計画を説明した。地表の排水設備は三六災害で記録した雨にも対応し、地下配水管は地表を流れる水が全て流れ込んでも排水できる大きさとした。
盛り土の安定化対策では盛り土上流域の治山えん堤に加え、沢水の流入が想定される支流に谷止め工を設置する。一方、当初計画されていた盛り土内の埋設工は削除した。
工事中の安全対策として、上流域に土石流センサーを設置する。
工事完了後の管理計画では、造成範囲内だけでなく、上流側を含む範囲外の自然斜面についても、造成範囲に悪影響を及ぼさないか確認し、盛り土内の地下水位の観測などをしていく。ただ、JRは「詳細な管理計画は今後村と協議し、文書で確認する」と述べた。
質疑応答では「確認点検の頻度など管理計画を明確にしてもらわないと、受け入れの判断ができない」と、工事後の管理計画まで明示を求める意見が相次いだ。村は▽連続雨量100ミリ以上の降雨など異常気象時は必ず確認▽監視カメラの設置―などを求める腹案を提示。一方、JRは「検査頻度など詳細な管理計画は国の届け出をして初めて確定し、開業の近くにならないと決まらない」とし、「示した管理項目に足らない部分があれば検討していく」と述べた。
また、環境への影響にどう対応するか問う声も上がり、JRは「工事説明会で説明していく」とした。
村は今後、工事説明会の様子や村リニア対策委員会、議会の意見を聞いた後、正式に候補地として受け入れるか判断する。村が認めた後にJRが工事説明会を開く。
◎写真説明:清内路公民館で開いた住民説明会