阿智村は2日、リニア発生土置き場の候補地となっている清内路のクララ沢について、専門家を招いた講演会と懇談会を同地区で開いた。岐阜大の沢田和秀教授と村田芳信客員教授の2人を招き、住民約60人が参加。住民は盛り土の安全性や効果を尋ね、沢田教授は管理の重要性を指摘した。
沢田教授らは昨年4月にクララ沢を視察。村はJR東海に要望書や質問事項を提出した際にも2人に見解を聞き、安全性の検討を進めてきた。今回の講演会は住民の要望で実施した。
沢田教授は、自身が関わった静岡県熱海市の土石流災害の調査を踏まえ、雨だけでなく地下水の存在を把握しておく必要性を指摘。クララ沢は水が地中に隠れている箇所もあるとし、「土に入った水が出ていく状態を長く保てる設計になっているかが安全性判断の一つだ」とした。
懇談会では、住民が想定外降雨時に排水管がつまる危険性を質問。沢田教授は「想定外の時の管理方法をJRと確認し合うことが大切」とし、「盛り土に加え周辺の点検もしてもらい、住民も水量などを見守り、JRに対応してもらえる関係づくりを進めて」と述べた。
また、「JRが取得した用地以外の集水面積についても、観察や点検をしてもらうのが良い」とし、「同規模の盛り土で過去に崩れた事例は」との問いには「きちんと設計され、適正に管理されている盛り土が崩落した事例は経験がない」とした。
「今回盛り土をする場合としない場合は将来どちらが安全か」と質問が上がり、沢田教授は「クララ沢は“若い”沢で、今後も災害が起きやすい」とし、「盛り土をしてJRが恒久的に管理することで、土砂災害の緩和や道路や黒川、生活域への危険の軽減にはなる。管理についてもきちんと約束するまでが設計だ」と述べた。
村は今回の講演会や懇談会を踏まえた上で、15日にJR東海による住民説明会を開く。
◎写真説明:専門家を招いて開いた講演会(清中プラザで)