リニア中央新幹線の建設計画で、JR東海は17日夜、リニア駅西にできる風越山トンネル上郷工区(約3・3キロ)に関する説明会を上郷公民館で開いた。地下水への影響が小さい「シールド工法」を採用する計画で、工法の概要や地質調査の結果を示し、直径14メートルの掘削機「シールドマシン」の振動・騒音対策にも触れた。
説明会は非公開。出席者によると、シールドマシンの掘削による影響に不安の声が上がった。
説明会では本線トンネルのルートと地点ごとの土被りを改めて提示。掘削機でトンネルを掘り進めながら内壁にコンクリートを吹き付ける「ナトム工法」から、シールド工法に変更した検討経緯についても示した。土被りは15~105メートル。
JRは施工管理を徹底し、地上の土地利用に支障が生じないよう工事を進める方針で、地表面の高さの変化を計測するほか振動・騒音への対策、相談対応、家屋調査などを行うとする。
シールドトンネル端部から約40メートルの範囲内にある建物などについて、希望する人を対象に事前の家屋調査を行うとした。
JR広報部によると、トンネル上部が5メートル未満の場合は用地を取得し、5メートル以上30メートル未満は区分地上権を設定する方針。30メートルより深い場合は整備新幹線など他の事例を踏まえ「地下構造物を設置したとしても土地利用に影響しないと判断し、無償で使用させてもらう」との意向。
シールドトンネル工事に向けては発進坑を整備し、高さ22メートルの大型クレーンなどを使ってシールドマシンを組み立てる。組み立て後、防音ハウスを設置して本線トンネル掘削の準備を進める。
シールドマシンは外径約14メートル、機長約15メートル、総重量は3000トン。工場で製作されたシールドマシンを陸上輸送できる大きさに分割し、トレーラーやトラックで運び込む。
計画によると、シールドマシンは2025年度頃に組み立てる予定。シールドトンネル掘削は25年度以降に始まる見通し。
上郷工区を巡っては、駅部の着工にあわせて作業用トンネルや発進抗の施工ヤードの整備に先行着手し、シールドトンネル掘削に向けては工事着手の前提となる工事説明会の開催を予定する。
説明会は4月11日にかけて上郷地区住民を対象に行う。