リニア中央新幹線の建設工事で出る残土で、処分計画地となっている飯田市下久堅で盛り土造成の準備工事が進む。今月からは、中央アルプストンネル松川工区(4・9キロ)のうち斜坑掘削に伴う残土の搬入が開始。運び込む残土は準備工事に活用している段階で、盛り土作業が本格化するのは秋ごろになる見通し。
下久堅の残土置き場は小林と柿野沢の両地区に計画し、盛り土の造成範囲は全体で約3ヘクタール。20万5000立方メートルを運び込んで埋める計画で、松川工区の斜坑と本坑、黒田非常口(風越山トンネル工区)から出る残土を想定する。
運搬台数は片道で当面1日40台で、ピーク時は1日最大で約420台(往復)を見込む。中央道飯田インターチェンジを経由し、中央道と三遠南信道を利用して運び出している。
造成は準備工、仮設調整池工、表土すき取り、仮排水工、地下排水工、補強土壁工、造成盛り土工、河川工事、道路工の順で工事を進める。
造成計画によると、盛り土の高さは約19メートル。盛り土の下流部には仮設の調整池兼沈砂池を構築する。調整池を設けることで雨水が下流域に一気に流れないよう流量調整する―とする。また近くを流れる伝田沢川を改修し、改修工事の完了後は地下排水を直接放流する。
工事完了後の管理計画について、JR東海は工事中のモニタリング結果を踏まえ、必要な場合に追加の環境保全措置を実施する考え。造成範囲の平たん部は地権者に返還して農地に戻す。道路や河川の維持管理は市が引き継ぎ、仮設沈砂池の維持管理はJRが一定期間行うとする。
市内の坑口3カ所から出る残土は約185万立方メートルを見込み、松川工区が約90万立方メートル、黒田工区が50万立方メートル、上郷工区が45万立方メートル。松川工区では昨年9月6日にトンネルの掘削が始まった。
◎写真説明:準備工事が進む下久堅の小林地区(19日)