飯田市の上郷飯沼と座光寺で新設するリニア中央新幹線県内駅(仮称、全長950メートル)で、着工の前提となる工事説明会が9月7日に上郷地区で開かれることが27日、分かった。JR東海は準備工事、橋りょう、作業用トンネルなどの先行着手工事について施工方法や安全対策を示す計画で、早ければ年内に準備工事に着手する見通し。
駅工区のうち「土曽川橋りょう」「竜西一貫水路の付け替え」「新戸川付け替え」の3カ所が対象工事となる。
5月に地元へ提示した工事スケジュールによると、駅工区は準備工事を2022年度の第2四半期に開始する。土曽川橋りょうの下部工が22年度第3四半期、上部工が24年度の第2四半期、環境対策工が25年度の第3四半期に始まる。新戸川付け替えが23年度第2四半期、竜西一貫水路付け替えが22年度第3四半期に着手する予定。
JRは21年6月に清水建設(東京)との間で工事契約を結んだ。完成目標は26年3月末。
工区の東端は座光寺地区で、土曽川、国道153号をまたいでホームまでを高架橋と橋りょうで結び、西端となる風越山トンネル(5・6キロ)との隣接部は切土して掘割区間とする。高架橋区間は約510メートル、橋りょう区間は約120メートル、土構造物区間は約320メートル。
駅部は全て、四角いフードで覆う。駅中央部のうち高架下利用スペース付近の構造物は幅40メートル、高さ19メートルで、県駅に止まる副本線側のフードは外から見える構造を検討している。
座光寺側の駅東部のうち、土曽川に架かる橋りょう部の構造物は幅36メートル、高さ24メートル。県道市場桜町線からJR飯田線までの駅西部は飯田線に向かって地盤面が高くなり、地表面に構造物を計画する。
リニア県駅西にできる風越山トンネルのうち未着工の上郷工区(3・3キロ)の掘削について、JRは地下水への影響が小さい「シールド工法」を採用する方針で、今回の工事説明会には上郷工区も含まれる。
上郷工区は23年度に作業用トンネル用の施工ヤードの工事に着手し、シールドマシン(掘削機)は24~25年度に組み立てる予定。シールドトンネル工事は25年度第4四半期に始まる見通し。