南信州アルプスフォーラム(外松秀康会長)は26日、第2回全体勉強会を飯田市内で開いた。明治大学理工学部建築学科・アーバン研究室の佐々木宏幸教授が「リニア駅開通を控えた飯田下伊那の戦略的広域まちづくりの進め方―リニア駅と中心市街地の役割を考える」と題して話し、約40人が聴講した。佐々木教授は「丘の上はまさに今何をするかにかかっている。長期的なビジョンを明らかにする必要がある」と強調した。
佐々木教授は2017年から「デザインの力で街が変えられる」をコンセプトに、橋南・橋北地区をフィールドに学生、地元有志と実証実験を重ねている。
この日は「大きな都市構造でなく魅力的な拠点を複数つくり、輝く『点』の集合体に大きな意味を持たせる」という方針に基いた裏界線、春草通りなどでの取り組みを振り返り「今、まず何ができるかを考えてきた。イベントを開くことで人に気付き、周辺の地域資源に変化を与え、一時的なものから半恒久的なものへの変化につなげていく」と意図を語った。
その上で「遠い飯田がリニアによって東京と45分で結ばれるのは丘の上にとって大きな変化だが、悪い影響となるか良い影響となるかはまさに今何をするかにかかっている」と指摘。「将来に向け、何を飯田の価値として捉えるかが重要。そのためには長期的なビジョンを明らかにし、可視化する必要がある。(それに基いて)一つ一つのプロジェクトの方向性を決めていくといい」とアドバイスした。
自身や学生から見た飯田は「東京とは全く違う。少なくともオンリーワンな場所になる可能性を秘めていると感じる」と評価し、引き続き「魅力的な人、モノ、空間を生かして世界的に見ても飯田ならではのもの」の創出に貢献する考えを示した。
勉強会は、アルプスフォーラムとしてのビジョン策定と提言活動に向け、12月22日のリニア中央新幹線県内駅着工を前に開いた。
◎写真説明:佐々木教授を迎えて開いた全体勉強会