飯田市内のリニア中央新幹線建設事業を巡り、JR東海は9日、地元の北条地区を対象にした住民説明会を北条振興センターで開き、上郷飯沼と座光寺共和で新設する県内駅(仮称、全長950メートル)と、駅西側から掘削する風越山トンネル上郷工区(3・3キロ)の計画概要を示した。説明会はコロナ対策として2回に分け、計約70人が参加した。
JR東海、県、飯田市の担当者が出席し、リニア関連事業を含め説明。先行して検討を進める竜西一貫水路の付け替えと、土曽川橋りょうの計画概要を提示した。
着工に向けては、竜西一貫水路と土曽川橋りょうの工事計画、工事用車両のルート、施工ヤードなどを取りまとめた上で4~5月に地元説明会を開催し、着工の前提となる工事説明会は5~6月に予定。7月ごろに環境保全計画を公表する見通し。最速の工程と前置きした上で「7月に工事着手したい」とした。
駅舎の土台となる土木構造物に関する事業で、デザインを含めた駅舎については「計画がまとまり次第説明する」とした。
工区の東端は座光寺地区で、土曽川、国道153号をまたいでホームまでを高架橋と橋りょうで結び、西端となる風越山トンネルとの隣接部は切土して掘割区間とする。高架橋区間は約510メートル、橋りょう区間は約120メートル、土構造物区間は約320メートル。
駅部は全て、四角いフードで覆う。駅中央部のうち高架下利用スペース付近の構造物は幅40メートル、高さ19メートルで、県駅に止まる副本線側のフードは外から見える構造を検討している。
座光寺側の駅東部のうち、土曽川に架かる橋りょう部の構造物は幅36メートル、高さ24メートル。県道市場桜町線からJR飯田線までの駅西部は飯田線に向かって地盤面が高くなり、地表面に構造物を計画する。
一方、リニア県駅西にできる「風越山トンネル」(5・6キロ)のうち未着工の「上郷工区」(3・3キロ)の掘削について、JRは地下水への影響が小さい「シールド工法」を採用する。工事着手は2023年度以降になるとした。
この他、新設工事の施工計画作成に向けて、測量作業を行うとした。実施時期は今月下旬から1カ月程度で、上郷飯沼と座光寺の測量範囲を地図で示した。
◎写真説明:北条振興センターで開いた説明会