リニア中央新幹線計画で、県内の沿線など16市町村長とJR東海との意見交換会が21日、飯田市で開かれ、トンネル掘削工事で出る残土や環境保全対策などを巡って協議した。
冒頭以外は非公開。JR東海は宇野護副社長らが出席した。
トンネル工事で発生し、汚染対策が必要とされる「要対策土」について、宇野副社長は冒頭あいさつで言及。保守基地や変電所といった自社設備用地造成への活用を検討するものの「県内の社用地には限りがある」とし、公共事業での活用先のあっ旋を改めて要望した。
大鹿村内でJRが整備するリニアの変電所用地で試験的に使用する方針で、その後の環境データを沿線自治体で共有する意向を示した。
具体的な候補地を確保できていない状況を踏まえ、JR自ら候補地を積極的に探していく考え。造成後の安全性確保については、公共事業でもJRが管理することも視野に入れる。
JRによると、「自然由来重金属などの基準不適合土」と「酸性化可能性のある土」の2種類のうち、最終的な対策を取る残土を「対策土」と呼び、カドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素の8種類が該当する。これまでに県内で出た要対策土は計約5000立方メートル。南アルプストンネル長野工区、伊那山地トンネル坂島工区などから出たもので、それぞれ付近の残土置き場に仮置きしている。
リニア工事で発生する残土の活用先として飯田市、喬木村、豊丘村、大鹿村、伊那市、高森町、中川村、下條村の計18カ所が決定。この他、公共事業での活用を含め約30カ所を候補地として関係機関や地元地権者らと調整中とした。
飯田市の佐藤健市長はリニア開業に触れた上で「大都市圏との時間距離が大幅に短縮される」といい、開業効果を生かすまちづくりに意欲を示した一方で「地権者や移転者の理解があってこそ、できる事業」と強調。地元に寄り添った対応と積極的な情報公開を求めた。
開業時期に言及すると、企業誘致を進める上でも「何らかのめどがほしい」とし、開業時期に関する情報についても示すよう求めた。
◎写真説明:関係自治体とJRによる意見交換