リニア中央新幹線のガイドウェイ側壁製作保管施設を高森町の下市田産業用地に建設する計画を巡り、JR東海は6日、地元住民らを対象にした工事説明会を開いた。ガイドウェイの製作スペースとなる東ヤードの設備設置工事に来年1月にも着手する。保管スペースとなる西ヤードは本年度末の着工、ガイドウェイの製作開始は来年度第2四半期中を見込む。
下市田の天竜川沿いに延びる町道(農免農道)を挟み、天竜川側に東ヤード(5・7ヘクタール)、向かいに西ヤード(4・6ヘクタール)を設ける計画。大鹿村などのリニア中央新幹線トンネル工事の発生土を活用して町が造成工事を進め、7月末に東ヤード、今月1日に西ヤードの造成が完了した。現在は西ヤードの工事確認検査などが行われている。
ガイドウェイは鉄道の軌道部にあたるU字形の構造物。側壁と車体に設置したコイルに電流を流して磁界を発生させ、電磁石の反発力や吸引力を使って車体を浮上、推進させる。側壁は1本の長さが12メートルの板状のコンクリート製品。東ヤードで1日あたり7本程度を製作し、西ヤードに運搬、保管する。
設備設置工事では整地、舗装、仮囲いの設置などを行い、東ヤードには製作スペースのほか、現場事務所、資材置き場、電気部品取付テント、門型クレーンなどを設ける。
工事中の車両運行計画では、ヤード整備に伴う砕石運搬と各設備の基礎コンクリート打設が重なる日に、西ヤードの明神橋側で1日(往復)約170台を想定。製作保管中は、資材運搬車が同所で1日約40台とした。説明会は非公開で開き、出席者からは交通安全対策の徹底などを求める声が上がったという。
飯田下伊那地域では喬木村阿島地区堰下でもガイドウェイ製作・保管ヤードの整備に向けた造成工事をJRが進めている。JRによると当面は使用する計画がなく、「今後事業全体の工事進ちょく状況を見ながら、使用計画を検討していく」とする。
◎写真説明:ガイドウェイヤードを整備する下市田産業用地