飯田市と岐阜県中津川市を結ぶリニア中央新幹線の中央アルプストンネル(23・3キロ)の計画で、昨年9月に着工した岐阜県側の山口工区(4・7キロ)で1日、安全祈願式が開かれた。下旬に予定する斜坑の掘削開始に向けたもので、来年夏からの本坑掘削を目指す。工期は2023年6月まで。
JR東海から受託した鉄道・運輸施設整備支援機構が発注。鹿島建設と日本国土開発、吉川建設の共同企業体が施工する。
祈願式は中津川市山口のヤードで開き、約80人が出席。関係者らが玉串を捧げた。
事業者あいさつでJR東海の本田敦執行役員は「安全、環境保全に努め、地域と連携を図りながら工事を進める」と強調した。
中津川市と南木曽町間の県境をまたぐ区間で、県内は1・1キロ。300メートルの斜坑を掘った後、長野県側に向けて山岳工法のナトムで掘り進める。
最大土被りは約600メートル。残土は90万立方メートルで、20万立方メートルの置き場が決まっている。
県内に到達するのは早くて3年後。南木曽町内の水源保全について、町の対策協議会の承認を得て進めるという。
当初計画より1年半ほど遅れているが、本田執行役員は「全体のスケジュールに影響はないと考えている」と話した。
中アトンネルでは山口工区の他、東側で飯田市内の松川工区(4・9キロ)が2月に着工している。
残る中央の飯田市―木曽郡南木曽町間(約13・7キロ)について機構は7月、2区間に分けて来年6月までに発注するとの見通しを示している。