飯田商工会議所のリニア中央新幹線特別委員会は15日、リニア飯田駅の実現に向け、市民基金の創設を視野に入れた協議をスタートさせた。独自の積み立てを模索している飯田市と役割を分担し、企業や個人などを対象に募りたい考え。誘致運動への積極的な市民の参画をねらい、民間80社でつくるリニア飯田駅設置推進協議会と準備を進める。
想定している基金の形態は2案あり、いずれも個人や企業、団体を対象とする。
1案は、東海道新幹線の新駅設置を実現した静岡県掛川商工会議所の例で、協力する金融機関が積み立てプランを設け、各個人、企業、団体が独自に定期積み立てを行うタイプ。満期になった時点で個々が全額または一部を寄付する。
整備計画の具体像が明らかになる前に着手できる一方、満期を迎えるまで受け入れ態勢を整える時間猶予がある。
2案は伊原五郎兵衛の記念費移転などで行った、口座を設けて随時受け付ける形。市民にとってはわかりやすい形態だが、税制の優遇措置などを取り入れることが困難だ。
商議所に対しては中間駅の設置費の負担を懸念する市民から、基金の早期創設を願う声が相次いで届いており、1年以上も前から準備に着手するタイミングの模索が続けられていた。
委員会では「いよいよ直線ルート・飯田駅が現実味を帯び、カネの話になってきた。ある日突然負担できる額ではないと見られるので、しっかり準備しなければならない」などの声が続く一方、駅設置費の負担のあり方の見通しが立っていないことから、慎重に見極めるべきだとする意見も出た。
中間駅について、JR東海は「受益者負担」の観点から地域による整備費負担を求めたい考えを示している。標準的な中間駅の設置費は350億円(地上駅の場合)と試算されているものの、負担主の枠組みや分担率は不透明なままになっている。
商議所は16日に開くリニア飯田駅推進協の会議でも議論のテーブルに挙げる考えで、宮島八束会頭は「住民のみなさんの関心が非常に高い問題。行政、まちづくり委員会と話を煮詰めていきたい」と話していた。