リニア中央新幹線の残土処分を巡り、市町村などから県に寄せられた新たな活用先の情報が12件に上っていることが11日、分かった。飯田下伊那や上伊那地域が中心で、飯伊の工事で発生する残土795万立方メートルのうち、行き先が不透明な約350万立方メートルの一定量を満たすものと見られる。県は「有効活用できる情報があれば、引き続き提供を求めたい」としている。
松川町内の大規模候補地の取り下げなどを踏まえ、県リニア整備推進事務所(飯田市)が昨年12月、飯伊と上伊那、木曽地域の自治体など38団体に活用先の照会を通知。2013年10月以来で、期限を設けずに情報提供を求めていた。
同事務所によると、10日までに県の現地機関や市町村などから計12件の情報提供があった。道路改良など公共事業活用が中心という。
想定される面積や土量も調べているが、12件の詳細や全体の規模は明らかにしていない。
事業者のJR東海には随時、情報を伝えていて、現地調査も順次進めているという。
県内から発生する残土は約975万立方メートルで、このうち約795万立方メートルが飯伊の工区から発生する。
一方、確定している残土本置き場は大鹿村と喬木村の計4カ所。他にJRが地元と協議や調整を進めている候補地が木曽地域も含めて約20カ所ある。
松川町生田の候補地取り下げにより、飯伊では約350万立方メートルの土の行方が未定になっていた。
阿部守一知事は2月、JR東海金子慎社長とのトップ会談で「できるだけ早く処分地を確定させてほしい」と要請していた。
JR東海は「発生土置き場について、県から随時追加の候補地を提供していただき、検討している。引き続き県と連携し、情報を共有しながら進めていく」としている。