リニア中央新幹線計画を巡り、阿部守一知事とJR東海の金子慎社長が8日、東京都内でトップ会談した。知事は1月に施行した県盛土規制条例への協力などを要請。「(リニア事業は)県に大きな効果をもたらすが、地域の理解と協力なしには工事を進めることは難しい」と述べ、改めて地域住民に対して説明を尽くすよう求めた。
トップ会談は昨年2月以来で8回目。対面での開催は3年ぶりとなった。4月1日に社長に就任予定の丹羽俊介副社長も同席した。冒頭以外非公開で行い、終了後に知事が取材に応じた。
阿部知事によると、知事からは▽開業時期の早期明示と県内工区の早期完成▽騒音など開業後の環境対策▽発生土置き場の対応▽工事現場の安全対策と地元への丁寧な説明▽県駅への1時間に1本の停車―など計10項目を要望。今後も継続してトップ会談を行っていくことを確認した。
開業後の騒音対策については、県の基準をできるだけ下回るよう要請。個別での対策など地元の要望を踏まえた対応を求め、金子社長から「基準達成を第一に努める」との回答があったとした。残土や地元への丁寧な説明なども含め、「地元の不安を認識して、丁寧に対応したいとの趣旨の説明をいただいた」と述べた。
静岡工区の着工遅れに伴う開業時期と県駅の停車本数は、JRから具体的な数字が示されず「前進はなかった」としたものの、「大きな方向性は理解していただけた」と説明。「二次交通を考えるにも見通しが立たないと具体的な話が進まない」として、出来るだけ早期に示すよう引き続き求める考えを強調した。
冒頭あいさつで金子社長は「工事に当たっては安全、環境、地域との連携を大切にしながら進めていく」と強調。「県駅を拠点にリニア効果が広がるようプロジェクトを進めていく」と話した。
◎写真説明:都内で会談した阿部知事と金子社長、丹羽副社長