JR東海は6月30日、リニア中央新幹線計画のうち豊丘村の伊那山地トンネル戸中・壬生沢工区(約6・6キロ)の「戸中非常口」で、28日から斜坑(作業用トンネル)の掘削を始めたことを明らかにした。村内でのリニアトンネルの掘削開始は初めて。
伊那山地トンネルは、大鹿村の小渋川左岸から豊丘村壬生沢坑口までを結ぶ15・3キロ。青木川、坂島、戸中・壬生沢の3工区に分けて工事を進めており、青木川工区(約3・6キロ)では昨年7月に斜坑の掘削を始めた。
戸中・壬生沢工区のうち、戸中工区(約4・4キロ)は昨年7月に着工し、ヤード整備などの準備工を進めてきた。戸中非常口から本坑トンネルまでつなげる斜坑は延長約1・0キロ。NATM(ナトム)工法で掘削する。
5月の豊丘村リニア対策委員会での説明によると、戸中非常口から出る残土のうち26万立方メートルは隣接する戸中残土置き場で受け入れる。残る約43万立方メートルは、坂島工区の南側に位置する本山残土置き場に運ぶ。
残土を運ぶダンプの通行は午前8時から午後6時まで。戸中非常口から戸中残土置き場まで残土を運搬するベルトコンベヤー(全長約270メートル)は24時間稼働する。
残る坂島工区(約5・1キロ)はヤード整備がほぼ完了。同社広報部は坂島非常口からの斜坑掘削について、「準備ができ次第、7月中旬にも開始する」としている。
◎写真説明:掘削が始まった戸中非常口(6月30日撮影)