リニア中央新幹線計画でJR東海は、東京―名古屋間で行う環境影響評価のうち、猛禽類調査を6日から開始するのを前に5日、1都6県にJR東海が開設した環境保全事務所で、調査を請け負う事業者との打ち合わせを行った。
長野県内では、JR東海が示す事業実施想定区域(概略ルート)にかかる8市町村(飯田市、松川町、高森町、大鹿村、喬木村、豊丘村、阿智村、南木曽町)の、計40―50地点で調査を実施。環境庁が定める「猛禽類保護の進め方」に従い、営巣期(12―8月)と非営巣期(9―11月)に分け、稀少猛禽類の生態や繁殖・営巣活動、個体種の特定、行動範囲などのデータを収集する。
主な対象はイヌワシ、クマタカ、オオタカなど。営巣期には月に1、2回(1回の調査=3日間)、非営巣期には月に1回、上空が見通せる地点で、日の出後から日の入りまでの明るい時間帯に双眼鏡や望遠鏡を使った目視での定点観察を行い、営巣地の絞り込みや特定を目指す。最低でも2営巣期のデータが必要となるため、調査は2年がかりに。2014年の着工を目指す同社にとっては、ことし調査に着手することが必須条件だった。
飯田市元町の環境保全事務所長野で行われた打ち合わせには、奥田純三所長ほか、環境アセスメントの専門知識を有する調査会社で、長野県内の調査を実施する復建エンジニヤリング(東京都)の社員らが出席。席上奥田所長は、「山間部の危険な場所での調査も予想される。調査員の安全管理には十分注意を。また、猛禽類の保護を優先し、営巣地が特定できた場合にもむやみに近づかず、繁殖に影響を与えないようにしてもらいたい」と声を掛けた。