飯田下伊那地域の夏の風物詩「お盆の成人式」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から延期を決定する自治体が相次いだ。13日までに、計画していた10市町村のうち6市町村が中止や延期を決定。14日には大雨の影響で下條、天龍村も延期を決め、今年は泰阜、平谷村のみの開催となった。両村とも、感染対策を徹底し規模を縮小するなど例年とは異なる環境での実施となったが、出席した新成人らは旧友との再会を喜び、地域の支えにあらためて感謝し、社会人としての恩返しを誓った。
泰阜村
友人らとの再会喜ぶ
2度の延期経た晴れ舞台
泰阜村の成人式は14日、村役場に併設する山村開発センターで開いた。同村では例年1月3日に行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、1月、5月と2度延期した。出席した新成人12人(対象17人)は、待ち望んだ晴れの舞台で友人との再会を喜ぶとともに、家族や恩師らからのエールに社会人としての意識を高めた。
感染対策に万全を期して開いた式には、山村留学で泰阜中学校に通った新成人の姿もあり、村への愛着を感じさせた。記念事業のスライドショーでは、保育園から中学生までのさまざま写真が映し出され、懐かしい姿に笑顔が広がり、家族が書いた手紙を新成人に渡すサプライズでは、普段聞くことのできない率直な思いが涙を誘った。
村役場に勤務する新成人の女性(20)は、「2度の延期があったが、式を迎えることができたのは家族をはじめ、恩師、村の皆さんらが温かく見守ってくれたおかげ」と感謝。「社会人としての自覚と責任を持ち、社会の発展、反映のため精進し、未来を切り開いていきたい」と力を込めた。
横前明村長は「新型コロナのように、人生には予期せぬ困難がたくさん起こり得る。強い信念を持って訪れる苦境を乗り越えてほしい」とエールを送った。
◎写真説明:記念撮影で笑顔を見せる新成人ら(泰阜村)