大鹿村の民俗資料館「ろくべん館」の改修工事の竣工式が14日、現地で開かれた。館内をバリアフリー化するとともに、作業・交流スペースなどを備えた玄関棟を新設。展示内容を充実させ、村の魅力を発信する。
同館は、村に伝わる国選択無形民俗文化財の大鹿歌舞伎や産業・文化に関わる資料を保存・展示するための施設として1994(平成6)年に開館。館名は村人が歌舞伎見物などに持参した弁当箱「ろくべん」に由来している。
開館から25年以上が経過して老朽化が進んでいることや、階段や段差を多用した劇場のようなデザインにしたことから体が不自由な人の利用が課題となり、村は2020年に文化交流推進協議会を設置。施設のあり方について検討し、昨年8月に改修工事に着手した。
改修工事では、館内の段差を解消するためにスロープを設置。新設した玄関棟には、機織りや草木染めなどろくべん館を拠点に活動する団体のための作業・交流スペースやトイレなどを整備し、事務所を移転した。
改修に伴い展示内容も見直し、常設展示スペースには公演が行われる歌舞伎舞台を再現した体験舞台や、切り絵作家の柳土情さんが寄贈した村の風景の切り絵コーナーを設けた。
また、隣接する中央構造線博物館とともに南アルプスユネスコエコパーク大鹿エリアの拠点とも位置付け、写真家の故・白幡史郎さんの写真を交えたユネスコエコパークの展示スペースも新たに確保した。総事業費は約1億8000万円。国の地方創生拠点を活用した。
式典で熊谷英俊村長は「将来的にはVR技術の活用や映像資料の集積を図り、体験や学びも充実させたい」と展望を語り、「大鹿村の魅力を多くの人に発信して交流人口の増加につなげる」と力を込めた。
入場無料。開館時間は午前9時半~午後4時半。火曜日は休館する。
◎写真説明:新設された玄関棟