天龍村の国道418号足瀬―戸口間で2020年に発生した大規模な土砂崩落に伴う災害復旧のために新設する「足瀬トンネル」(仮称、391メートル)の貫通式が13日、現地で開かれた。6月の安全祈願祭を経て足瀬側から掘削に着手し、NATM工法で掘り進めてきた。事業主体の県飯田建設事務所は、取り付け道路や橋梁の整備も含めた供用開始時期について「25年度中を目指す」としている。
この日の式典には村や工事関係者の他、天龍小学校の全校児童18人も出席。約100人がトンネル内に集まり、岩盤掘削などに使用する重機「ブレーカー」による作業を見守った。
「ゴンゴン」と岩盤を砕く音が響き始めると、間もなくして光が差し込み、トンネルが貫通。直径1・5メートルほどの穴が開くと、坑内は拍手に包まれた。天龍小5年の男子児童(11)は「初めて(掘削の様子を)見たけど、こんなに大きな音がするとは思っていなかった。光が見えた瞬間はすごかった」と話した。
同区間は現在、切り回し道路での応急復旧により通行が可能になっているが、崩落箇所を回避する形で復旧する計画で、早木戸川対岸に足瀬トンネルと橋梁(125メートル)を新設して国道418号と結ぶ。付随して整備する道路も含めた改良区間は629メートルで、総事業費は44億500万円。幅員は5・5メートルで片側1車線となる。
式典のあいさつで太田茂登所長は「この先には橋梁工事も残っており、復旧は道半ば。今後も早期復旧に努めていく」と強調。永嶺誠一村長は「国道の改良、整備促進は村民の悲願であり、村の未来に明るい光が差した。次世代を担う子どもたちにとっても一生の思い出になるのではないか」と話した。
同事務所によると、トンネルは来年夏ごろに完成予定。橋梁は下部工(橋台、橋脚)が発注・契約済みで、上部工は12月に県議会の承認を得て本契約を結ぶとしている。
◎写真説明:天龍小の児童も見守る中、トンネルが貫通した