東京パラリンピックに中米コスタリカ代表として出場した陸上選手らが6日から、ホストタウンを務める松川町に滞在している。7日は町内2小学校を訪問し、児童たちに競技を終えての気持ちや大会を通じて学んだことなどを伝えた。
町を訪れているのは男子百メートル(義足・機能障害T64)で銀メダル、二百メートル(同)で金メダルを獲得したシェルマンイシドロ・グィッティグィッティ選手(24)と、女子百メートル(視覚障害T13)と四百メートル(同)に出場したメリッサ・カルボ選手(21)の他、同国パラ委員会のアンドレス・カルバハル会長ら6人。
松川中央小学校では、コスタリカの五輪・パラ選手団に送った応援動画に参加した5年3組の32人と交流。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、直接触れ合うことはできなかったが、両選手は抱えている障害や競技を始めたきっかけなどを語り、児童たちは積極的に質問した。
シェルマン選手は15歳の時に陸上を始め、将来有望な選手として国内で注目を集めたが、4年前にバイク事故で左脚を切断。それでも「片足を失ったその日にはパラリンピックで1番になると前を向いた」という。
義足に慣れるまでの道のりは厳しく「これで競技をするのは無理」と思うこともあったが、困難を乗り越え、二百メートルではパラ記録を更新して金メダルを獲得。「自分の夢を諦めないで」と子どもたちに呼び掛けた。
メリッサ選手は生まれつきの白内障で間もなく右目を失明し、左目も視力が低下し続けているという。「医者からは将来視力を失うこともあると言われている」と明かしたが、「選手としての夢を諦めなかった」と強調した。
大会を通じて「より成長し、夢を果たすことができた」と語り、「努力して学び続けることが大切だと学んだ」と伝えた。
子どもたちから障害について質問されると、メリッサ選手は「今でも差別はある」と実体験を紹介。シェルマン選手は「互いに助け合ってほしい」と求めた。
交流の最後にはシェルマン選手の金・銀メダルと競技用義足も披露され、子どもたちは間近で見学。男子児童らは「選手もメダルもとても格好良くて緊張した」と話していた。
選手たちはこの日の午後、オンラインで松川中学校の生徒を対象に講演。8日に帰国する。
◎写真説明:金・銀メダルを間近で見た児童たち(松川中央小)