松川町教育委員会は8日、元大島の旧スーパー跡地で実施している「北垣外遺跡発掘調査」の現地体験会を開いた。親子連れら20人余りが参加し、住居跡での発掘体験を楽しんだ。
北垣外遺跡は、JR飯田線伊那大島駅西の名子段丘中央縁部にあり、町の中心部に位置。1990年の最初の調査から、遺跡範囲内での店舗や住宅建設など各種開発に伴って発掘調査が行われている。
跡地には町地域共生社会拠点施設「元気センター」(仮称)を建設する計画で、それに伴い調査を実施。縄文中期の他、弥生時代後期、平安時代、鎌倉時代と異なる時代の住居8棟や、弥生時代の方形周溝墓とみられる遺構が見つかっている。
体験会では調査で出土した住居跡の大きな石組炉や埋められた土器などを見学した後、発掘途中の4500年前の住居跡に入り、移植ゴテと竹ベラを使って発掘に挑戦。慎重に土を掘っていくと土器の破片や石器があちこちから出土し、「縄文土器を自分の手で掘ることができるなんて感動」などと歓声が上がった。大人も子どもも、服に泥がつくのも「お構いなし」といった様子で夢中になっていた。
調査の説明や発掘の指導を行った町文化財アドバイザーの酒井幸則さんは「これまでは歴史愛好家が興味を示す程度の発掘体験会や現地公開だったが、小中学生や父母の皆さんが地域の歴史に興味を示されることに新たな可能性を感じた」と喜んでいた。
◎写真説明:発掘体験に夢中になる参加者ら