飯田市の上久堅地区まちづくり委員会は10日、改修した北田遺跡縄文時代復元家屋の竣工お披露目会を同遺跡公園で開いた。記念式典には地区住民の他、佐藤健市長や市教育委員会などの約50人が参加。住民が中心となって管理してきた復元家屋の改修が完了したことを祝い、地区のシンボルの一つとして地域づくりの拠点になることを願った。
改修した復元家屋は縄文時代中期後半(約4500年前)の竪穴住居。同遺跡の集落が最も栄えていた頃で、直径5~6メートルの円形。
改修工事は今年6月から始め、8月26日に完成。垂木(たるき)の入れ替えと補強、茅ぶき屋根のふき替え、入口の改修をした。施工者は茅葺信州(伊那市)で、施工費は約770万円。改修に先立ち、古い屋根材の撤去は住民が行った。
これまでは縄文時代と古墳時代の2つの復元家屋があったが、2017~20年の市の公共施設マネジメントで、同地区は公園の今後のあり方を検討。縄文時代の復元家屋1棟のみ改修して残すことを決め、古墳時代の復元家屋は昨年秋に住民により解体した。
記念式典では佐藤市長やまち委の田中隆男会長ら6人がテープカットをし、完成を祝福。地元上久堅小学校6年生9人も参加し、児童たちが「北田遺跡」の石碑を除幕した。
田中会長はあいさつで、1988(昭和63)年の建設時には全戸で費用を出し、その後は屋根のふき替えも行うなど、住民が北田遺跡に深く関わってきたことを紹介。「神之峰、秋葉街道と結びつけ、北田遺跡を地域の学習、交流、憩いの場に位置付け、上久堅ならではの地域づくりを目指す」と力を込めた。
佐藤市長は「市ではなく地区が主催するところが上久堅らしい」とし、「今後地区にとって重要なアイテムになる。住民にとって大事な場所になることをスタートとし、住民に愛され続け、多くの人に訪れてもらうことを願う」と祝いの言葉を述べた。
北田遺跡は縄文時代早期から古墳時代にかけての集落遺跡。1986年の農業構造改革事業で発掘調査を実施。88年、上久堅地区自治協議会を事業主体とした「北田遺跡公園」が竣工した。
建設当初から住民が深く関わっているのが特徴で、建設時には地区全戸や出身者が600万円を負担し、地区を挙げて整備。94、2001、02年度には全戸が茅を供出し、住民でふき替え事業を行った。
◎写真説明:テープカットで完成を祝う佐藤市長(中央)ら