飯田市の南信濃まちづくり委員会は、本年度から空き家となった旧木沢駐在所を改修し「遠山郷お試し住宅」として整備した。同委が所有者から土地建物を借り受け、移住希望者や遠山郷での暮らしに関心を持つ人たちに1カ月以上の貸し出しを行う。暮らしを「お試し」してもらうことで、移住、定住の促進を狙う。
人口減少、少子高齢化が進む中、同委は、交流、関係人口の拡大を移住定住に結びつけ、持続可能な地域を目指そうと取り組む。これまでは移住希望者に対する段階的な地域への誘導策がなかったが、ゲストハウス「太陽堂」での短期滞在を入り口に、お試し住宅での中期滞在へとステップアップし、時間を掛けて居住地の選定や地域への理解を深めてもらうことのできる流れを構築する。
住宅の近隣には旧木沢小学校があり、地区住民らが県内外の来訪者との交流拠点として活用していることから、住宅利用者の地域理解や交流を促進しやすい環境にある。まちづくり委としても利用者に寄り添ったサポートを展開する。
同委の近藤力夫委員長は「一足飛びに移住を決めることは希望者にとってハードルが高い。中期滞在というワンクッションを入れることで、地域を知り、住民との交流を図りながら移住への準備を進めることができる」と期待する。
本年度の県地域発元気づくり支援金を活用し、1985(昭和60)年建築の旧木沢駐在所を改修した。木造瓦葺平屋で和室6畳2室、8畳1室、4・5畳ほどの洋室(旧駐在事務所)に台所、洋室、洗面所、トイレがあり、家族での利用も可能。
水回りを中心に改修した他、テレビや冷蔵庫、エアコンなどの電化製品を備え、テレワークが行えるよう通信環境も整えた。事業費は約150万円。
利用の開始は新型コロナウイルスの感染状況を考慮しながら決めるとし、4月からを見込む。問い合わせは南信濃自治振興センター(電話0260・34・5111)へ。
◎写真説明:旧木沢駐在所を改修しお試し住宅に